ENDLESS BATTLE―覚醒・霊会編―
道隆、碧と別れた後、少しスピードを上げて家へと向かう。
風が漆黒の髪を揺らす。
さわさわと優しい音を立てながら、木々が揺れ、新緑の輝きが夏が近づいていることを感じさせた。
雲一つない晴れやかな空。
「久々寄り道するか…」
小さく微笑み、四つ角を右に曲がった。
「はぁ…気持ちいな…」
土手にごろんと寝転がる。
家の近くにあるこの川は、零次のお気に入りの場所だった。
ここの土手に寝転がるといつもより、空がきれいに見える気がした。
ここから見る青空も、部活帰りにみる夕日、星空、すべて好きだった。
不思議と心が洗い流される感じがする。
「あーあ、つっかれたな…」
無駄に頭を使いすぎたらしい。
だんだんうとうとしてきた。
風を体で感じ、自然の匂いに安心する。
瞼が徐々に重くなる―――
キィィィイン―――!!
「…!!?」
突然頭に響いた音に、飛び起きた。
いやな気配がする―――
いつもは漠然としていた感覚がはっきりと感じられる。
「………」
零次は起き上がると孟スピードで自転車をこいだ。