碧花の結晶
「──すっごいわね…」
「学校とは思えませんね」
私達5人は全員、Aクラス寮を見て唖然としていた。
王宮ほどでは無いが、1クラスで使うとは思えない高さの建物に細かく装飾が成されている。
装飾も、豪華であるのに落ち着いたデザインになるように巧妙に設計されたのだろう。私は豪華なものよりもシンプルな物が好みだが、この装飾には嫌な感じは皆無だった。
中に入ると、その豪華さは増した。
天井にはほんのり温かみのある配色のされたシャンデリアが吊るされ、壁には大きなステンドグラスが設置されていた。
よって建物内は色とりどりの光で溢れかえっている。
そして、それぞれ予め指定されていた個別の部屋に入る。
私の部屋は2階の1番奥。隣はミラの部屋で、もうひとつ隣がシーナの部屋になっていた。
どうやら性別によって部屋はかためられているらしい。
入ると、そこにはひと家族が余裕で暮らせるぐらいの広い空間が広がっていた。
床と壁は木調の暖かい雰囲気になっており、とても気に入った。壁には大きな本棚が備え付けられていて、私が王宮の本棚から持ち出した本がみっしり詰まっている。
(もう荷物は届けられていたのね)
私がこの寮に持ってきたものは、勉強の為の本、服、生活用品ぐらいで、多分本を除けば少ない方だと思う。
何か必要なものがあれば、王宮まで取りに行けばいい。この学園は国の中心部に設立されているので、王宮までの距離はあまりない。よって、少量の魔力で転移することができる。
備え付けのベッドに倒れ込むと、ふんわりしてとても心地が良かった。
今日は新生活に慣れなくて、体は疲れているのだろう。昼食の時間まで私は昼寝をすることにした。