碧花の結晶
2:会食
対面
王宮へは、転移魔法で行く。
転移魔法は結構魔力を使うんだけど、私は意外と大丈夫。
王族ってのもあるのかもしれない。 魔力はほとんど遺伝で決まるらしいから。
「──はぁ…嫌だなぁ…
ラルクって、鋭そうじゃない? シーナならまだ良かったのに!」
「ルーナ様? それは…シーナを少しバカにしていませんか?
いや、まぁいいです。」
「はぁ…」
「ため息ばかりついてると、幸せが逃げますよー」
「だって…もー!
…あーあ、王宮着いちゃったし。」
魔法で飛んだ先は、王宮の中にある自室。
私は今ルーシェの姿をしていないから、人に姿を見られると大変なことになってしまう。
だからいつも、人の居ない確信のある部屋──つまり、自分の部屋に転移することにしているのだ。
「じゃあ…ミラはこれからどうする?」
「えーと…練習場にでもいって、剣を振ってます。」
相変わらずの性格。
騎士という職業もあって、ここ数年で戦闘マニアが酷くなったと思う。
その時、私の専属のメイドがやってきた。
彼女も私が女だってこと知っているから、この今の姿を見られても大丈夫だ。
「失礼します…!
ルーナ! 久しぶりぃ〜寂しかったよぉ!!」
いきなり飛びかかって、抱きつかれた。
あまりにも勢いが良かったので 後ろに倒れそうになる。
「むぐぅ…ア、アスカ……苦しい…」
「アスカ! 何してるんですか!
ルーナ様が苦しがっています!」
抱きついてきたのは、15歳の少女。
歳が近いこともあってお互いに友達のような存在で、彼女も敬語を使わない。
名前はアスカ・トゥルーガ。
年齢の割には背が低いので、とっても可愛い。性格も結構甘えん坊。
「あははっ、ごめーん
だって、 ルーナったら学校ばっかで…あたしに全然構ってくれないんだもん!」
「ぶはぁ…(い、息が…)
や、休みの日にはあってるじゃない」
「毎日がいい〜」
さすがに毎日は無理だよ、うん…
そんなことしてたら、学園のみんなにバレちゃう。
アスカのおかげで、ちょっと緊張がほぐれた気がする。
最近緊張することなんて滅多にないから…とても助かったよ。