碧花の結晶
「それでは、 私はこれで失礼します。」
そう言って、ミラは私の部屋を出ていった。
学園に戻るまでは王宮にいるから、当分はミラの範囲外。
たまには任務から外れて欲しいと思って、王宮で仕事をする時はミラに休みを与えるようにしている。
「あの子は、休みをあげてもどうせ剣を振りに行くんでしょ?」
「そうだね…らしいと言えばらしいけど。」
「とりあえず! さっさと着替えよ!」
「はぁーい。 今魔法かけるから」
そう言って、私は自分自身に変身魔法をかける。
変身魔法といっても、髪型を変えるだけだからとても簡単。
私の長くて、背中まで伸びている銀髪はみるみる短くなって、金色の短髪になった。
「はぁ…やっぱり、ルーナは男の子の格好でもキレイだね…」
「そう? ありがと」
「ふふふ、 少し低い声もなんだかかっこいいなぁ」
「やめてよ…恥ずかしくなってきたわ」
男物の服に腕を通す。
豪華で飾りのいっぱい付いた服だから、 普段学園の制服で慣れてしまっている体には重く感じるのだった。
「どう?
変なところない?」
「大丈夫よ!
どっからどう見ても、 立派な王子様よ
あたしが言うんだから、間違いなし!」
「よし…
──そろそろ、時間だわ」