碧花の結晶
来客室には隊服を着た男が座っていた。
「じゃあ、何かあったら呼んでね。」
そう言ってシスターは部屋を出ていった。
その男が着ている隊服は、確か王家の騎士の服だったような気がする。
なぜ騎士が私を尋ねるの?
「──どういった件でしょうか。」
おずおずと聞くと、彼は少し考えてから言った。
「あなたのご家族に関することです。
今から話すことは、くれぐれも他言しないと誓って貰えますか?」
「………え、ええ。はい。」
「家族」という言葉に反応してしまう。
今まで何度も考えてきた
本当の家族は誰なのか、なぜ私は孤児なのか。
「では、話しましょう。
今から話すことは全て事実です。
少々辛いことも話すかもしれませんが…」
「お願いします。」
彼の目を見て、真剣な態度をあらわす。
しかし、この後に聞いた話の内容は、ルーナが想像するどんな物よりも、壮絶なものだった。
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数日前、ルーシェと国王夫妻が殺されたこと。
ルーナとルーシェは双子の兄妹だということ。
そして、碧花のことも。
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「う、嘘でしょう…?」
「お気持ちは分かりますが、しかし…」
その先は聞かなくても分かる。
しかし、到底受け入れ難いものだった。
「お願いします。1晩頭を整理する時間をください。」
騎士は直ぐに承諾してくれた。
「ええ、ではまた。明日の晩に来ます。」
そうして彼は帰って行く。
私はどれくらいの時間、そこで座っていたのだろう。
シスターが扉を開けるまで、立ち上がることは出来なかった。