碧花の結晶
1:魔法学園入学

入学




半年後












私は孤児院を先週出た。







シスターも、子供達も、涙ながらの別れになってしまって…とても辛かった。








シスターには私の出生について何も言わないことにした。




今までお世話になった人だから、面倒事には巻き込見たくない。













そして今日は、魔法学園の入学式。









あの騎士の言う通り、私は月3回の会議と主な行事以外はただの一般人として暮らすことができた。




今までの会議は簡単なものばかりで、すんなり終わっていった。

今私は政治について猛勉強している所だ。






そして王としての私は、変身魔法で髪を変化させて、ルーシェと同じ髪型にしているので、知り合いに見られても気づかれることはないだろう。




ルーシェの生前の肖像画を見たけど、本当に私そっくりの顔だった。

髪は私が銀髪なのに対して彼は金髪だったから、随分印象が違うけど…髪を変えたら私はもう本当にルーシェ本人だ。




自分でも鏡を見てると何だかおかしな気分になることも多少ある。










すると、突然少し肩を揺すられる。





「──え?」






「ルーナ様! ……ああ、いえ、この場ではルーナと呼んだ方がいいですか…?」






不慣れな敬語を使って、可愛らしい美少女が話しかけてきた。







「…あ、ミラ。 ごめんなさい…ちょっとボーッとしてました。」







この「ミラ」と呼ばれた少女は、私に付けられた護衛らしい。
結構誠実な感じの人物。

私も幼い頃から護身術は学んでいたし、いざとなれば魔法が使えるから、 護衛は断ったんだけど…







宰相が、


「ダメです! もし何かあったらどうするんですか!? 」



だって。








「別に、なんと呼んでもらっても構いません。


ここでは『学友』という設定ですし。」









「じゃあ、…ルーナ様? なぜ私に敬語なんか使うんです? こちとら、 何だかやりにくいです…」







「別に、ただの癖なんですけど…」




「それに、 ルーナ様は少し謙虚すぎです! もっと横暴に! 王らしく! 」







分かるように、ここ最近、ミラは私にどんどん遠慮がなくなって来ている。




まぁ、 その方が気楽に接することが出来ていいんだけどね…







「それより、 今から入学式ですよ? もうほとんどの新入生は入ってしまったようですから、 早く行きましょう。」






「はーい! ですが、金輪際 私への敬語は禁止です! 違和感満載ですよ? 王に敬語を使われるなんて。」





「はいはい、わかったわ。」









そう言いながら、私はミラが学園生活を本気で楽しむ気でいるようにしか見えなくなってきた。







本来の役目を忘れていないか、心配だよ…








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