友達が欲しい少年と種姫さま

友達ができた少年と種姫さま

夏休みも終わりが近づいてきたある日。
朝から天気が悪かった。

「明日、花が咲きそうなんや」

その子は嬉しそうにそう言った。

「へえ、そうなんや」

僕はあまりそれに興味がなかった。
だって、僕にはもう友達が出来ていたから。

種はやっぱり芽を出して、そして花を付ける。
それだけだ。
そんなに驚く事じゃない。

でも、僕とこの子しか知らない花が咲くのかと思うと、
少し心臓が早く動くんだ。
それが不思議なんだ。
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