桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
弐~バレた正体と解かれた封印~
魔法図書館に着いたけど、扉には鍵が掛かってて、入れない。
「私に任せて」
先生は、どこからともなく杖を取り出して、杖先をドアに向けた。
「解錠」
先生が呪文を唱える。確か、簡単な魔法ほど詠唱が短いんだっけ?
「あれ?」
先生は、杖を下ろしながら首を傾げた。
「開かないんだけど……」
先生の呟きを聞きながら、私はそっとドアに触れる。
……これは、結界……?しかも、強力なものだ。
「……こりゃ、魔法で開かなくて当然だ……」
私は、誰にも聞こえない声で呟いた。
……さて、どうしたものか。
「……先生、僕もやってみても良い?」
私が声をした方を見ると、庚が杖を片手に立っている。そして、その杖をドアに向けた。
「……解錠」
庚が唱えた瞬間、バシンッ!と音がして、結界が壊れる。
……え?
「……っ!」
……庚……あの強力な結界を破壊した?結界って、神様しか解けないはず……いや、魔力が強すぎたから?分からない。
私は、そっと庚に目を移す。
庚は驚いた顔をして、さっきの魔法の衝撃で、少しだけ開いたドアを見つめていた。
「……行こう!」
先生の言葉に、私は一旦庚のことを考えるのを止める。
あ……そうだね。とりあえず、閃と利希を助けないと。