桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
「微睡みに誘え」

先生は呆れた顔を見せて、呪文を唱える。次の瞬間、利希は地面に倒れ込んだ。

「千草くん、ひどく混乱してるようだから、一時的に眠らせた……」

杖を服の中にしまいながら、先生は心配そうな顔で利希を見る。

そっか……でも、何で利希は混乱したの?何か……何か、理由が……。

「閃、今までどこに行ってたの?」

「……分からない」

私の問いかけにそう言って、閃は首を横に振った。それを、葵はじっと見つめている。

「……」

何だろう……この感じ……まさか!

「……閃に化けて、何がしたいの?レイスト」

私が声をかけると、閃は「……バレるの早~」と呟きながら煙に包まれた。

「何で分かったの?つまんねー」

煙が晴れると、白髪に赤目の男性――レイストが姿を現す。

「気配、隠し切れてないよ。その気配、悪神しか放てないものだし」

「ちぇっ、もう少しでほのかを騙せるところだったのに……残念だなぁ……」

ニコニコと笑いながら、レイストは私をじっと見つめた。

「……それで、レイストは何しにここに来たの?」

「決まってるじゃん……お前の存在を消すため。せっかく上手く行ってた計画を邪魔されたし」

「誰だって邪魔するよ。それに、私は死なないよ?」
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