桜舞う下で、君に誓いを～恋した神様～
私は、その辺をふらふらと歩いた。

……前に、人間界に来たのは何年前だっけ？……覚えてないや。

「……」

美味しそうな匂いが漂ってきて、私はふと足を止める。

「あれ？こんなお店、あったっけ……」

看板を見てみると、どうやらこの店は、喫茶店のようだった。

「……少し、寄ってくか」

私は赤いリボンの髪飾りを頭に付ける。

この髪飾りは、神様だけが持つ力、霊力が込められてて、付けると人間に姿が見えるようになるんだよね。

カランカラン……。

ドアを開けた瞬間、ドアに付いていたベルが鳴った。

「いらっしゃいませ！何名様ですか？」

不思議そうな目を私に向けた店員さんに、問いかけられて、私は「一人です」と答える。

店員さんに案内されて、私は席に座った。

適当にメニュー表をめくると、注文をして、窓から外を眺めた。



私は髪飾りを付けたまま、町を歩く。冷たい風が、私の1つに結んだ髪を揺らした。

手には、その辺で買った三色団子が握られている。

私は、洋菓子よりも和菓子の方が好き。というか、神界には和菓子しか見かけないから、和菓子しか食べたこと無いんだよね。

「ねぇねぇ、そこのお姉さん」

声をかけられて、私は振り向いた。
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