桜舞う下で、君に誓いを～恋した神様～
「ん？あれ、閃じゃない？」

隣にいる葵が言う。あ、ホントだ……。

「閃！」

私が声をかけると、閃は顔を上げて私たちを見た。閃の目からは、涙が零れてる。

「……閃、どうしたの？」

庚がそう言いながら、閃に近づいた。私たちも、閃に近づく。

「……何でもない」

私たちから視線を逸らして、閃は言った。

「…………でも、もういっか。これ以上迷惑をかけるわけにも行かないし」

閃は、そう呟きながら私たちの方を向く。

「皆は信じられるから、話すよ。私が魔法学校に入った理由を……」

「……一旦、私の家に行こ？そこで話を聞くよ」

「それもそうだね」

葵の言葉に私たちは頷いて、閃と一緒に葵の家に向かった。



「……私の家はお金持ちで、友達からは羨ましがられてたんだ」

葵の家に入って私たちが床に座ると、閃はゆっくりと口を開く。

「それで、魔法使い熟練の称号を持つお父さんと、魔法使い達人の称号を持つお母さんから、『お前は、強い魔法使いの子どもだから、強くないとおかしい』ってずっと言われてて……魔法学校に入ったのも……！お母さんとお父さんから、期待されたからで……本当は、魔法なんて習いたくないのに……前、魔法のことで傷ついたことがあってさ」

閃はそう言って、泣き始めた。私たちは、黙って閃の言葉を聞いていることしか出来ない。
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