桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
誰かに手を握られて、私は誰かがいる方を向く。庚が私の手を握りながら、無言で微笑んでいた。

ち、近い……そんなに近いと、ドキドキするじゃん!

……でも、何だか落ち着いてくるんだ。庚が隣にいてくれるだけで、頑張れるような気がした。

「僕、頑張って合格する!だから、ほのかも合格して……それで、2人が合格したら、一緒に2人で遊ぼうよ」

庚は頬を赤くしながら、私を見つめる。庚と2人で……。

「うん!」

私は、微笑みながら頷いた。



実技試験での私の番が回ってきた。ぎゅっと杖を握り締めて、会場に入る。中は、そこそこの広さがあって、試験官は2人。

「天火 ほのかさん、ですね。今から指定する魔法を使ってください。まずは、解錠魔法をあのドアにかけてみてください」

試験官の1人に言われて、私は「はい」と頷いた。解錠魔法は、入学式当日に先生と庚が使った魔法だね。

「……解錠」

杖先を試験官が指定したドアに向けて、呪文を唱えた瞬間、ガチャッと音がした。

うん。解錠魔法は簡単に使える。

「次は、束縛魔法であの方を捕まえてください」

試験官の言葉に、試験官と同じ格好をした人が「私です」と手を上げる。

束縛魔法……私が庚に助けられた時に、庚が使っていた魔法か。
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