桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
「……」

無言で男の子は、私の腕を引くと走り出す。

「……ここまで来れば、大丈夫かな。君、大丈夫ですか?」

男の子は立ち止まると、私の方を見ると微笑んだ。その笑顔に、私の胸が高鳴ったような気がした。

「は、はい……ありがとうございました。あの……さっきのは?」

「良かった。さっきのは、魔法です。僕は、魔法が使えるんですよね。魔法学校に行くつもりでいるんです」

「……魔法学校?」

私が首を傾げると、男の子は「知らないんですか?」と不思議そうな顔をする。

「はい」

「そっか。魔法学校は、魔法を学べる学校で、試験を受けて合格すると、入学出来るんです」

もう一度微笑んだ男の子は、口を開いた。

……魔法使いの存在は知ってたけど、魔法学校の存在は、知らなかったな……。

「……魔法学校は、どこにあるんですか?」

「あの山の中です」

男の子は、近くにある山を指差す。

え……あんな近くに魔法学校があるんだ。知らなかったな。

「……じゃあ、僕はそろそろ行きますね」

「……あなた、中学生ですか?」

さっきから思っていたことを、私は問いかける。この男の子、近くの中学校の制服を着てるんだ。

「……そうです。僕は、中学3年生です。じゃあね!」
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