桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
捌~捕らわれの神様~
夏休みが明けて数日が経ったけど、まだ庚は目を覚まさない。庚は、今用事で学校を休んでることになってるよ。
「……ほのか」
私がカバンに教科書を片付けていると、葵に話しかけられた。
「どうしたの?」
「……れいが呼んでる。行こう……閃、利希!こっち来て!」
近くにいた閃と利希に声をかけた葵は、歩き出す。私たちは、葵の後を追いかけた。葵が来たのは、屋上だった。
「……何か分かったのですか?れい……」
葵が声をかけると、れいが姿を現す。葵の言葉に、れいは微笑んで頷いた。
「……人間が神様になったって言われてる神様を見つけたんだけど……」
「見つけるの早いね……」
私が呟くと、れいは「近くにいたんだ……」と返す。
「……その神様は、ほのかがよく知る神様だったんだ。誰だと思う?」
「え……?」
れいの問いかけに、私は驚いた。驚いたのは、私だけじゃないみたいで、葵も驚いた顔をしてる。
「……その神様はね、サナミ様……つまり、ほのかのお母さんだったんだ……」
「え!?お母様!?」
私が声を出すと、れいはゆっくりと頷いた。
「僕が話を聞こうとした時、サナミ様は『ほのか、葵様、そして閃と利希を連れてきてください』って言われて……」