桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
「入学生の皆さん……緊急事態のため、しばらくこの場で待機していてください」

先生が大講義室に入って来るなり、そう言った。

「……何があったんだろ……」

庚が、心配そうな顔で呟く。……この気配……嫌な予感がする。

「……」

私は、無事を願うことしか出来なかった。



私はすることもなくて、庚と私の隣に座る茶髪に茶色の目の男の子、千草 利希(ちぐさ りき)と喋っていた。

その時、扉が開いて、先生が入ってくる。

「お待たせしました。入学式を始めます」

ゆっくりと黒いローブに三角帽子を被った男性が、通路を歩く。

……校長先生だ。私を神様だと見破った先生。

校長先生が教壇に立つと、入学式がゆっくりと始まった。



入学式が終わり、私と葵は部屋でごろごろする。

「そう言えば、閃が帰ってこないな……」

もう夜の10時だと言うのに、魔法図書館に行ったっきり、閃は帰って来ない。

「……利希がいるから大丈夫だと思うけど……」

入学式が終わった後、私たちは利希に敷地内にある魔法図書館に行こうって誘われて行ったんだけど、夕方になっても、利希と閃はまだ居たいって言ってたから、私たちは先に帰ってきたんだ。

「……行ってみよう」

私と葵は、部屋を出る。敷地内なら、この時間でも外に出れるから怒られる心配は無いんだよね。

出る人は、全然居ないらしいけど。
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