桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
拾~桜舞う下で、君に誓いを~
あれから数年が経ち、私たちは魔法学校を卒業して、皆と神界で暮らし始めた。あれから、ルトは行方不明のまま。どうなったのか、私たちも分からない。
「……庚」
私は、縁側に座ってぼんやりと庭に咲く桜を眺めてる庚に話しかける。吹いた風が、胸辺りまで伸びた庚の髪を揺らした。
「……ほのか……」
庚は私の方を振り向くと、にこりと笑う。
「ライヤ様の両親、とても温かい人なんだね」
立ち上がって部屋の中に入って来た庚は、そう言って微笑んだ。
卒業した後、私たちはライヤ様の両親に会って、庚のことを話したんだ。そしたら、庚を抱き締めて泣き崩れて「良かった」って嬉しそうに笑って……。
そして、庚はライヤ様の両親と一緒に暮らすことになったんだよね。
「……」
私が微笑むと、庚の頬は赤くなった気がした。
「そうだ。今日は、皆とお花見をする約束をしてたんだよね……」
「そうだね。そろそろ行こっか」
庚の言葉に、私は頷く。そして、集合場所である葵の家に向かった。
「遅いよ。2人とも」
庭に広げられた赤い敷物の上に座ってる利希は、私たちの姿を見るなりそう言う。
「ごめん……」
庚が謝ると、れいは「とりあえず、2人とも座ってくださいな」と箸を片手に言った。