桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「お婆さん、バス停のベンチで座って待ってて！私もう少し探してみるから！」

「ありがとうね。でも本当に申し訳ないわ」

「私は大丈夫です！それに探し物を探すのは得意なんで」

祖父母と住んでいると、眼鏡とかをどこに置いたかと探し物を一緒にする機会がよくあった。
そして、私がよく見つけ出していたんだ。


「こんなところで何してるの？」

再び財布を探し始めると、聞き覚えのある声が聞こえて、中腰になっていた体を起こす。

その声の主は桃田さんだった。

「何か探し物？」

「お婆さんが財布を落とされたみたいで」

「知り合い？」

「いえ、知り合いじゃないですけど…」

バス停からお婆さんが財布を落としたところまで何往復もしたけど、全然見つからない。

どこにいったんだろう。
一応隅々まで探したんだけど。

家の中で祖父母の眼鏡とかを探しているように簡単には見つからない。
眼鏡を探していてよくあるのが、頭の上にかけていたり、胸元にかけていたりってことがあった。
だから簡単に見つけられたんだけど。

お婆さんの財布も頭や胸にかかっていないかなって、そんなことあるわけないよね。

「お婆さん、もう一度カバンの中見てみてください」

そう言うと、お婆さんはカバンの中を確認し出した。

「やっぱりないわ」

そう簡単には見つかるわけないか。

「そのお持ちの紙袋の中も見ていただけますか？」

ガッカリしてる私とお婆さんの横で桃田さんがそう言って、お婆さんは持っていた紙袋の中を探し始めた。

「あ、あった！あったわ」
お婆さんは紙袋の中から財布を取り出してとても喜んでいる。

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