桃の華〜溺愛イケメン社長〜
ドキドキが収まらないまま、桃田さんは家の近くまで送ってくれた。

「送っていただいてありがとうございました」
 
「じゃ、明日よろしくね」
そう言いながら、桃田さんはシートベルトを外してくれる。

大人の男の人ってほんとすごい。
学校の男子じゃ絶対にこんなことしてもらえないよ。

「こちらこそよろしくお願いします」
そう言うと、また頭を撫でられた。

その手の感触が優しくて気持ちいい。
ずっと撫でられていたいなんて思ったりしてしまった。


翌日
タナカさんとアクアのイベント会場へと行った。

昨夜から桃田さんに会えるのをすごく楽しみにしていたんだけど。

「私、桃田社長の秘書をしております、マキノと申します。本日はよろしくお願いします」

行けばすぐに桃田さん会えると思っていたけど、会えたのは桃田さん秘書さんだった。

すごく綺麗な秘書さんだ。
背が高くてモデルさんみたい。

こんな綺麗な人が桃田さんの周りにはいるんだよね。
私なんかが相手にされるわけがない。

桃田さんとは会えないままイベントが始まってしまった。

私とタナカさんは会場の隅の方で、種類別に一二三の和菓子屋を並べたりと準備をしていた。

若い女性がゲストだと聞いていた通り、若くておしゃれで綺麗な人ばかり。
IT会社のイベントってこんなに華やかなんだ。
こんな華やかな集まりを見たのは初めてだよ。

そして、その華やかな中心に桃田さんがいる。
綺麗な女の人に囲まれている。

桃田さんってやっぱりモテるのかな?
背も高くてカッコいいし、おまけに優しいしモテないわけがないよね。

私も大人になったら桃田さんを囲ってる女性みたいに綺麗になって、桃田さんと並べるくらいになりたい。

桃田さんのいるところを見ていると、桃田さんと目があってしまった。

まただ…
また胸がドキドキする。

桃田さんは周りにいる女性たちをすり抜け、私のところまでやってきた。
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