桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「ごめんね」
セリナと話していると、スマホ片手に桃田さんが戻ってきた。

「お仕事ですか?」
桃田さんも忙しいんだろうな。
社長さんだもんね。

それにしても、今日は早く仕事が終わったのかな?
たまたまタイミング良かったのかも。

「ああ。この後会議があるんだ」

「え?」

この後、会議?
私、今日はもう仕事が終わったんだと思って呑気な気分でいた。

たまたまタイミングが良かったんじゃなくて、忙しいのに抜けて来てくれたんだ。

「ごめんなさい。お仕事忙しいのに」

「謝らないでよ。俺が会いたかったんだから」

セリナがいるのに、こんな甘い言葉にトキメかずにはいられない。

「2人とも送っていくよ」

3人でホテルを出ると、再び桃田さんの車に乗り込んだ。

セリナは部活中の彼氏に会いに行くために、学校まで送った。

「桃田さん、私もここで大丈夫です」
この後、会議なのに迷惑かけられないよね。

「ダメ、やっと2人っきりになれたんだから送っていくよ」

どこまでも優しい桃田さんにずっとドキドキさせられっぱなしだよ。

ドキドキするのに桃田さんといると心が温かくなる。

恋愛経験のない私は今まで気づかなかったけど、すごく桃田さんのことが好き。


「桃田さん」

「ん?」

「…何もないです」

好きだって伝えたかったけど、まだまだ子供な私は恥ずかしくて口にすることは出来なかった。

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