桃の華〜溺愛イケメン社長〜
家の近くまで送ってもらい、シートベルトを外してくれる桃田さん。
その桃田さんからいつも甘い香りがする。
この香りも大好きだな。

「華ちゃん、俺明日から海外出張なんだ」

明日から出張か…それも海外。
社長さんで忙しい人だから仕方ないんだけど、ちょっと寂しいな。

「10日ほどで帰ってくるから、来週の日曜日デートしよう」

え、デート?
桃田さんとデート出来るなんて嬉しい。
今日もデートかもしれないけど、セリナもいたから。

「はいっ」

「そんな嬉しそうな顔しないでよ。可愛すぎる」

だって、嬉しいんだもん。
この約束があれば出張の間も待っていられそうだよ。

「お土産買ってくるから、いい子で待ってて」
そう言って、桃田さんは私の頭を撫でる。

桃田さんに頭を撫でられるのも大好き。
すごく気持ちいい。


翌朝
桃田さんから“行ってきます”とメッセージが来た。

そのメッセージがすごく嬉しくてセリナに話すと、セリナは彼氏と毎日100回くらいメッセージのやり取りをしているらしい。

「すごい、ラブラブなんだね」

「え、普通じゃない?」

普通なんだ。
今朝のメッセージが初めてきたメッセージだったのに。

毎日100回くらいって言うのは無理だよね。
桃田さんは忙しいしね。

「華から送ればいいじゃん?桃田さんも喜ぶんじゃない?華のこと大好きって感じしたよ」

「え、そ、そうかな」

「送っちゃいなよ。海外でも通じるんでしょ?」

「うん、多分」

今朝は“いってらっしゃい”とだけ返信したんだけど。
その後、桃田さんからメッセージが来ることはなかったんだよね。

まだ飛行機の中かもしれないし、時差とかもわからないしメッセージを送るのを躊躇っていた。

すると、夜寝る頃に桃田さんから無事に着いたとメッセージが送られてきた。

桃田さんが海外だと遠くに感じて寂しいと思っていたけど、こうしてメッセージが来ると近くにいるようで嬉しい。

私は何度か桃田さんとメッセージのやり取りをして眠りについた。

セリナたちカップルのように100回は無理だけど、私は数回のやり取りだけで十分です。


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