桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「気に入ってくれたのは嬉しいけど、そろそろ俺の方を見ようか」

桃田さんに言われて気づいたけど、久しぶりの桃田さんだったのに、私ったらネックレスばかり見てしまっていた。

「ごめんなさい。嬉しすぎて、つい」

「そんなに喜んでくれるなら、仕事の合間に買いに行った甲斐があったよ」

そうだよね。
桃田さんは遊びでニューヨークに行ったんじゃないのに。
きっと仕事で忙しいのにわざわざ買いに行ってくれたんだ。

「桃田さん、す、す…」

「ん?なに?」

好きだと言いたいのに、また胸がうるさくなって私の邪魔をする。

「す、素敵なお土産ありがとうございます」

緊張してしまって、まだ好きだなんて言えないよ。



桃田さんの車が止められ、前を見ると東京湾だった。

そう言えば、今日はどこに連れていってくれるんだろう?
桃田さんと一緒にいられる事が嬉しくて、行き先なんて気にもしていなかった。

車を降りると今度はクルーザーに乗せられた。

「今日はクルージングデートしよう」

デッキに並んで座り風を感じる。
すごく気持ちいい。

「寒くない?」

「大丈夫です」

東京タワーにレインボーブリッジが次々に見える。
こんな風に東京観光なんてしたことがない。
すごく贅沢な東京観光だよ。

「夜だったらもっとイルミネーションでキレイなんだけどね。また大人になったら夜のデートもしよう」

どうして私はまだ子どもなんだろう。
早く大人になりたい。
桃田さんに釣り合う女性になりたい。

「早く大人になりたいです」

「俺の隣でゆっくり大人になればいいよ」

桃田さんの腕が伸びてきて、私の頭を桃田さんの肩へともたれかけさせた。

「慌てて大人にならなくていいよ。今の華ちゃんも好きだから」

初めて桃田さんに好きだと言われた。
すごく嬉しい!

「華ちゃんが大人になるまで大事にするから。もちろん大人になっても大事にするけど」

もう十分大事にしてもらってるのに。

「桃田さん、優しすぎます」

「華ちゃんが好きだからだよ」

またサラリと好きだと言ってくれる桃田さん。

私なんて緊張しすぎてなかなか言えないのに。
でも、好きって言う気持ちが溢れてきて、今なら言えそうだよ。

「桃田さん」

「ん?」

ドキドキが止まらないよ。
だけど、私の気持ちも止まらない。

「好きです」

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