桃の華〜溺愛イケメン社長〜
肩を抱き寄せられ抱きしめられる。
桃田さんの力強い腕と甘い香りで包まれた。

「やっと言ってくれたね。さっきは言いかけて辞めちゃったし」

「き、気づいてたんですか?」

さっきネックレスをもらった車の中で、好きだと言いかけて結局言えなかった。

「気づいてたよ。あれはあれで可愛かったけど」

「恥ずかしいです」

桃田さんは余裕で、私ばっかり空回りしている気がするよ。

抱き寄せられた腕を緩められ、桃田さんに見つめられる。


「可愛い。こんなに可愛いとほんと心配だよ」

可愛いなんて言ってくれるのは桃田さんだけで、心配されることなんて何もないよ。

「学校とかで悪い虫が寄ってこなきゃいいけど」

「そんな心配いりませんよ」

全然モテないし。
セリナは美人だし入学してすぐ彼氏ができたけど、私にはその兆しすらなかった。

「華ちゃんは自覚してないから余計にタチが悪い」

そう言った桃田さんの手が私の頬を優しく触る。

これって、もしかして…
一気に胸が高鳴る私はゆっくり瞳を閉じた。

私だって、こういう雰囲気の先に恋人同士が何をするかくらい知ってる。
少女漫画や映画で何度も見たことがあるし。

ドキドキしながら待っていると、オデコに優しく触れるものがあった。

唇に触れられると思っていたんだけど。
恥ずかしくて、瞳を開けられない。

すると、今度は目蓋の上にも優しく触れられる。

「今日はここまで。大事にするって言ったばかりだしね」

ゆっくりと瞳を開けると、桃田さんが私を見つめていた。
すごく恥ずかしくて、ゆっくりと視線を下に移す。

「ご飯食べようか?用意してあるんだ」

そう言いながら、桃田さんは頭を優しく撫でて立ち上がった。

桃田さんにエスコートされながらクルーザーの中へと入っていった。

中にはキッチンや革張りのソファーなどがあり、とても高級感が漂う。

それに美味しそうな料理たちがテーブルの上に並べられている。
< 25 / 117 >

この作品をシェア

pagetop