桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「俺も抱きしめたくなった」

そう言った桃田さんはギュッと抱きしめてきてくれた。

今度は桃田さんが私に腕を回して、私も桃田さんに腕を回す。

「華ちゃん、もっと俺に甘えていいんだよ。思った事や考えはちゃんと伝えて」

背中に回されていた腕は私の腕を掴み、桃田さんは私の顔を真っ直ぐに見つめてくる。
そして、優しく私の頬に手を当てる。

「華ちゃんのことだから俺に迷惑かけるとか考えてるんだろうけど、華ちゃんのことならどんな事だって迷惑だなんて思わないよ」

桃田さんはこんなにも私の事を理解してくれてるんだ。
優しくて大事にしてくれて、それだけで幸せだって思ってたのに。
私を理解してくれることがこんなにも嬉しいだなんて。

「…桃田さん」

「ん?」

「もっと、ギュッて、くっつきたいです」

そう言うと再び桃田の腕が背中に回されて、ギュッと抱きしめられる。

「可愛すぎて困るよ、華」

桃田さんはまた“華”って呼んでくれた。

“華ちゃん”って優しく甘い声で言われるのも大好きだけど、“華”って呼ばれると胸の奥がキュンって疼く。

「俺をどこまで惚れさせんの?責任とってよね」

「せ、責任ですか?」

「そう、何があっても俺から離れようなんて考えないでね」

そんなこと考えるはずがないよ。
桃田さんと離れるなんて考えただけで、胸が苦しくなりそう。

「考えろって言われても考えられないです」

そう答えると、首筋に桃田さんの唇がチュッと触れた。


門限ギリギリまで車の中で桃田さんとイチャイチャして、桃田さんに家まで送ってもらい帰った。

男の人に絡まれたことなんて思い出しもしないほど、桃田さんのことばかり考えてしまう。

それに、明日もバイトが終わってから会う約束をしてくた。

桃田さんは私が可愛すぎて困るって言っていたけど、私は桃田さんを好きすぎて困っちゃうよ。


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