桃の華〜溺愛イケメン社長〜
翌日
バイトへ行くと、キムラ君も同じシフトだった。

「おはようございますっ!昨日は本当にありがとうございました」

「おはよう!バイト終わったらちょっと話出来る?」

桃田さんとの約束があるけど少しくらいなら大丈夫かな。
昨日のこともあるし、ちゃんと話した方がいいしね。

「はい」

休憩中に桃田さんにメッセージ送り、キムラ君と話すことも伝えた。

そして、バイトが終わり店を出るとキムラ君が待ってくれていた。

「お待たせしてごめんなさい」

「俺の方こそ昨日はごめん、急に抱きついたりして」

「え、ちょっとびっくりしちゃいましたけど…」

正直、今朝キムラ君に会うまで忘れてたんだよね。
私の頭の中には桃田さんばっかりで、どうしようもない。

「俺、華ちゃんのこと好きになってたみたい」

「え?」

「でも彼氏いるのも知ってたし、昨日も敵わないなって思ったよ。ずっと震えて強張ってた顔が、彼氏が来た途端に震えは止まるわ、表情も変わるわで、俺の入る隙ないじゃん」


私も自分じゃわからないんだけど、桃田さんといると胸が熱くなって、自然と笑顔も出てしまうんだ。

「だから、これからもバイト仲間として接してほしい。気まずくなるのは嫌だし」

「キムラ君、ありがとう」

「もし彼氏が嫌になったら俺のとこ来てよって、ダサいな」

ダサいなんて思わないよ。
こんな私を好きになってくれて、有り難く思う。


「華!」

キムラ君と話していると桃田さんがやって来た。

メッセージにキムラ君との話がおわったら連絡するって言っておいたんだけど。

「お疲れさま。仕事早く片付いたから、迎えに来ちゃったよ。話まだかかるなら車で待ってるよ」

「必死っすね」

キムラ君が桃田さんに向かって言ったけど、何が必死なの?
いつも余裕で大人に桃田さんだよ?

「昨日も華ちゃんに抱きついてる時すごい焦った顔で近寄ってきたし、今だって心配で来たんっすよね」

桃田さんがそんなことするの?
信じられないよ。

「首筋にキスマークつけて防壁作ったりして、ほんと必死すぎ」

き、キスマーク!?
首筋ってもしかして、昨日車の中で抱きしめられてた時?
全然気づかなかったよ。

桃田さんの顔を覗き込むと、手のひらで口を覆っている。
こんな表情の桃田さん見たことがない。

「華ちゃん、見ないでよ」

恥ずかしがるようなこんな桃田さんは初めてで、すごく可愛いんだけど。
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