桃の華〜溺愛イケメン社長〜
桃田さんが出張に出てから2週間がたった。

毎日1回はメッセージを送ってきてくれるけど、忙しいのかそれ以上メッセージが送られてくることはなかった。

電話をすれば優しい桃田さんのことだから、嫌な態度や忙しさなんて感じさせないようにしてくれると思う。

だけど、やっぱり仕事の邪魔はしたくない。

それに、出張から帰ったら一番に会おうって言ってくれたんだもん。
桃田さんを待っていよう。


バイトが終わりスマホを見ると、桃田さんから着信が入っていた。

それだけで嬉しくで一気に舞い上がってしまう。

着替えも後回しにして、すぐに桃田さんに電話をかけた。

「もしもし」

何度かのコールの後、久しぶりの桃田さんの声が聞こえた。

「もしもし、華です。電話出れなくてごめんなさい」

「バイト中だったの?」

「はいっ!今終わりました!」

少しだけいつもの声と違う気がするのは、電話のせいかな。

「桃田さんは、出張先ですか?」

「さっき帰ってきたよ」

帰って来たって聞いただけでテンション上がっちゃうよ。

「おかえりなさい」

「ただいま」

電話で話しているだけなのに、胸がキュンっと締め付けられる。

「華ちゃん、いい子で待ってた?」

「いい子かわからないですけど、桃田さんに会えるのを楽しみに待ってました」

一二三のバックヤードなのに、こんなセリフを恥ずかし気もなく言ってしまった。

「俺もずっと会いたかったよ」

桃田さんの一言で寂しかったのが一気にぶっ飛んでしまう。

「華ちゃん、ごめんね。すぐに会いに行きたかったんだけど仕事が溜まっててね」

会えると思っていたけど、仕事が忙しいなら仕方ないよね。

そうは思ってみても、やっぱりちょっと残念だな。


「だから、華ちゃんが会いにきてくれる?」

「え?」

会えないと思ったけど、会えるの?
すごく嬉しい!!

< 50 / 117 >

この作品をシェア

pagetop