桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「そんなに驚くことかな?ほんと、華は純粋すぎるんだよ」

急に何だか不安になってきた。

私って、本当に桃田さんの彼女だよね。

桃田さんは私とキスとかしたいって思わないのかな?

私、やっぱり魅力ないのかも。

大きなため息をつき、窓の外を見た。

前の車、桃田さんの車に似てるな。
え、あ、桃田さんだ!

信号待ちをしている車は左ハンドルで、はっきりと桃田さんが見える。

「華、どうしたの?」

「あの車、桃田さん乗ってるの」

指を指し、セリナにそう言った。

「あ、ほんとだ。横に誰か乗ってない?」

セリナに言われ助手席を見ると、サングラスをかけた女性が乗っていた。

「…アヤミンさんだ」

「え、アヤミン?って本当に浮気じゃないよね」

「え?」

桃田さんが浮気? 

「ごめん、また私の悪い癖がでたよね!本当にごめん!忘れて」

昨日、アヤミンさんが桃田さんにCMの契約とか言っていた。

だから、きっと、仕事で会っているだけだよ。

「桃田さんは浮気なんてしないと思う」

あんなに優しくて、私を本当に大切にしてくれている。
そのことは私が1番知っている。

「心配してくれてありがとう」

「普通ならここは喧嘩になるところなのに、お礼なんて言うのは華だけだよ。こんな性格の私と友だちでいれるのは華だけ」

私が頼りないから、セリナがいつも心配してくれてるのはわかっている。

買い物ですらセリナがいないと一人で出来ないのに、感謝しかないよ。


いつの間にか信号が変わっていて、桃田さんの車はもうどこにも見えなくなっていた。

桃田さんのことは信じてる。 

だけど、こんなに胸がザワザワするのは初めてだ。

桃田さんに会いたいな。

会って、あの温かな気持ちに包まれたいよ。




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