桃の華〜溺愛イケメン社長〜

金曜日のお昼休み

「ちょ、ちょっと、華！」

いつものようにセリナとお弁当を食べていると、セリナが慌て出した。

「どうしたの？」

「これ、見た？」

そう言って、セリナが差し出したスマホの画面にはアヤミンの熱愛のニュースが載っていた。

その相手はまさかの桃田さんだ。

そのネットニュースに載っている画像には、桃田さんとアヤミンさんが車に乗っている写真が載せられていた。

「それって、私たちが見かけた日の写真じゃない？」

多分そうだと思う。

「こんなの嘘だよ」

この記事には、桃田さんの会社のＣＭモデルをアヤミンさんが始めた1年前からの付き合いだって書いてある。

それに、半同棲とも書かれている。

「桃田さんが二股なんてするわけないよ！」

「桃田さんに連絡してみたら？」

セリナに言われ、私は桃田さんに電話をかけようとスマホを手にした。

すると、タイミングよく桃田さんからメッセージが送られてきた。

「桃田さんから“ニュースの件、ちゃんと説明するから信じないで”って来た」

私はそのメッセージだけで桃田さんを信じようと思った。

仕事で忙しいのに、私が不安がると思って送ってきてくれたんだと思う。

「それで、華は信じるの？」

「うん。桃田さんがちゃんと説明してくれるの待つよ。どうせ桃田さんの口から聞かないと信じられないし」

私はネットニュースを信じるより、桃田さんを信じる。

「この前の時も思ったけど、華って強いよね。自分の気持ちに素直なところ羨ましいよ」

「強くなんかないよ。実は、ちょっと不安だし」

でも、心が桃田さんを信じたいって言っているんだ。


学校が終わり校門を出ると、女の人に声をかけられた。

「和泉 華さんですか？」

名前を呼ばれたけど、眼鏡をかけたこの女性を私は知らない。

「あの…」

誰だろう？
どうして私の名前を知っているんだろう。

「私、夏木アヤミのマネージャーです」

アヤミンさんのマネージャー？
どうして、マネージャーさんが私に会いにきたんだろう。

「アヤミさんがあなたとお話したいってとおっしゃってますので、お迎えに上がりました」

アヤミンさんが私と話したってどうして？

私はマネージャーさんの車に乗せられ、ホテルへとやって来た。