桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「華、この人じゃない?」

昼休みにセリナに昨日の出来事を話すと、どこかで聞いたことのある名前だと言い出し、スマホで検索を始めた。

私はセリナからスマホを受け取り、画面に目を向ける。

「あ、この人だ!」

「やっぱりどこかで聞いたことのある名前だと思ったんだよね。ITの社長でテレビで見たことあるよ」

ITの社長さんか。
テレビにも出たことがあるから、私にあんなこと言ったんだ。

テレビに出てる有名人を見にきたミーハーな人間だと思われたんだ。

「女優とも噂あったと思うんだよね。誰だったか忘れたけど」

社長で、テレビに出る有名人、それに女優と付き合うような人なんて全く別世界の人だよね。

私はその後も、セリナのスマホから桃田さんの事について色々調べた。

年齢は、27歳。

大学生の時に会社を起業して、僅か3年で年商が1000億円を超えるほどになったらしい。

凄すぎて、そんな人と会話を交わした事が信じられなくなってきた。

「一目惚れ相手がよりによって、桃田律だなんてね」

「いや、だからそんなんじゃないってば!」

ただ憧れるだけならいいけど、恋をしても叶うわけがない。

「でも、もし付き合うとかなったら玉の輿じゃん」

「付き合うだなんて有り得ないよ!」

確かにカッコいいとか素敵だなと思ったけど、恋なんかじゃない。

それに、バイト先の一二三のお客さんとして会う事はあるかもしれないけど、それだけだと思う。

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