桃の華〜溺愛イケメン社長〜

「桃田さんを守りたかったのに、ごめんなさい」

「そんな事で？」
桃田さんはため息を吐くようにそう言った。

「俺はてっきり、過去のことで嫌われたんだとばかり思ってた」

桃田さんの過去が全く気にならないと言えば嘘になるけど、桃田さんが私を大切にしてくれていたのがに嫌いになんてならない。

「俺のこと守りたいなら、一生俺の側にいてよ。華ちゃんがいないと駄目みたい」

「私も桃田さんがいないと生きていけそうにないです」

「だったら何があっても離さないよ」

私も身に染みてわかったよ。
桃田さんと離れてしまうと自分がどうなるか。

もう何があっても桃田さんから離れない。

だけど、アヤミンさんの事は大丈夫なのかな…。

「桃田さん、アヤミンさんの事なんですけど」

「華ちゃんは心配しなくていいよ。写真が出回ったら、世の中に俺の大切に人だって、ちゃんと言うだけだよ」

微笑みながらそう言ってくれる桃田さん。

私もその時には桃田さんと一緒に“桃田さんは私の大切な人”だって言おう。



「華ちゃん、検査の結果は大丈夫だったんだけど、今日は沖縄でゆっくり1泊して帰ろう。おばあさんには明日ちゃんと送り届けるって許可もらってるし」

「はいっ」

桃田さんと一緒にいられて嬉しい。

病院を出て桃田さんとホテルへの部屋へとやってきた。

修学旅行で泊まっていたホテルと違い、部屋に大きな窓から海が見える。

窓際まで行き海を眺める私を後ろから桃田さんに抱きしめられた。

回された腕をギュッと握る。

「華ちゃん、もう1度俺と付き合って？」

まさか、改めて言ってもらえると思ってなかったよ。

すごく嬉しい。

「わ、私なんかで良ければ」

「華ちゃんじゃなきゃ駄目なの知ってるでしょ」

桃田さんの唇が優しく首の後ろに触れる。

「桃田さん、大好きです」

そう言うと、回されている腕にギュッと力が入った。

「い、痛いです」

階段で転げ落ちたせいで打ち身になってしまっているところが痛む。

「あ、ごめん！」

そう言って、腕の力を緩めてくれるけど、まだ抱きしめてくれている。

「もう華ちゃんに大好きだなんて言ってもらえないと思ってたから、嬉しくてつい力が入っちゃった」