桃の華〜溺愛イケメン社長〜
幸せです
沖縄から帰ってきて、ひと月が過ぎた頃。

アヤミンさんの不倫スキャンダルが世間を賑わせていた。

CMもドラマの仕事も全てなくなってしまったとニュース番組で放送されていた。

私の桃田さんが抱き合っている写真が出回ることはなかったけど、スキャンダルって本当に怖い。

一瞬で、大切なものも今まで努力してきたことも全て失ってしまう。




「華ちゃん、来週の土曜なんだけど」

「来週の土曜ですか?」

バイト終わりに迎えに来てくれた桃田さんが、私のシートベルトを締めるなり話し出した。

シートベルトくらい自分で締められって言ったことがあるんだけど、桃田さんは自分がやるって言ってくれて、ずっと締める時も外す時もしてくれる。

「同窓会があるんだ」

「同窓会ですか?」

まだ高校生の私は一度も同窓会へ行ったことがない。

中学校の時の同級生とは夏休みに集まったりはあるけど、同窓会って言えるほどの物じゃないよね。

「華ちゃんも一緒に行こう」

「え?」

桃田さんの同窓会に、私も!?

「毎年この忙しい師走の時期に大学の友人たちで集まるんだけどね」

桃田さんの友人に会ってみたいなぁ。
大学生の桃田さんってどんなんだったんだろう。

「みんなも彼女や奥さん連れてくるから、華ちゃんも来てよ」

「はいっ」

そうして私は桃田さんの同窓会に行くことになり、その時に着ていくドレスを桃田さんと買いに来た。

私がいつも買い物に行くショップとは全然違う雰囲気のお店だ。

「好きなものを選ぶといいよ」

そう言われても沢山ありすぎて困っちゃうよ。

店員さんに勧められて何着が鏡に合わせてみるけど、花柄のワンピースは派手すぎて、タイトな黒のワンピースは大人すぎて似合わない。

「気にいるのない?」

「いえ、どれも素敵なんですけど、自分には似合わない気がして」

「華ちゃんならどれを着ても可愛いに決まってるよ」

店員さんが聞いているのに、桃田さんは平気で甘い言葉を言ってくれる。

そして、桃田さんも一緒に洋服を選んでくれる。

「これ、どうかな?」

そう言って、白いワンピースを私に当ててくれる。

「着てみていいですか?」
< 83 / 117 >

この作品をシェア

pagetop