桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「華っ!!」

玄関から入ってきたのは桃田さんだった。

やっぱり来てくれた。

「華から、離れろ!」

桃田さんは私を引っ張っている男から私を離して、私を自分に抱き寄せる。

そして、その男を足で思いっきり蹴飛ばした。

「華ちゃん行こう」

桃田さんは私を部屋から連れ出そうとしてくれるけど、カヤノさんが心配で後ろを振り返った。

すると、桃田さんが蹴飛ばした男がナイフを持って襲いかかってくる。

「桃田さんっ、危ない!」

咄嗟にそう言うと、桃田さんは私を守るように庇ってくれた。

「桃田さん…」

桃田さんは脇腹を押さえてしゃがみ込んでしまった。

「やだ!桃田さんっ」

「大丈夫だから」

桃田さんが手を押さえてる脇腹から血が滲んでる。



「桃田大丈夫か!?」

玄関が開き入ってきたのは、同窓会で会った桃田さんの友だちのひとりだった。

「来るの遅いよ」

「これでもサイレン鳴らして飛んできたんだっての!」

そう言えば、外でサイレンの音が聞こえている。

「救急車呼んでやるから待ってろ」

桃田さんの友人に続き、次々とひとりが入ってきて、私を襲った男たちが逮捕されていく。

警察官だったんだ。

そして、カヤノさんが手錠をはめられて出て行く時に私と目が合った。

だけど、私はその視線をすぐに桃田さんへと戻した。

「桃田さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫!かすっただけだから」

救急車がやって来て、私と桃田さんは病院へと運ばれた。

桃田さんが処置室に入っている間、私は桃田さんの友だちの警察官に事情を聞かれた。

「桃田のやつ、すげぇ慌てて電話してきた。華が危ないかもしれないからすぐ来てくれてって。あんな慌ててる桃田は初めてだったよ」

「私のせいで桃田さんに怪我させてしまって、謝っても謝りきれないです」

「中の状況もわからないし警察が行くまで入るなって、桃田に言ったんだよ。そしたらあいつ、俺はどうなってもいいから助けるって言って聞かなかったんだ。だから、怪我はあいつが自分で選んだ結果だよ」

警察官の方はそう言ってくれるけど、やっぱり私のせいだよ。


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