桃の華〜溺愛イケメン社長〜
桃田さんの処置が終わり、駆けつける。

「桃田さん、ごめんなさい」

「本当に大丈夫だから。ちょっと縫っただけだよ」

桃田さんは優しくそう言ってくれるけど、私は自分を責めずにはいられない。

「私のせいで、桃田さんにこんな怪我」

「華ちゃんのせいじゃないよ。カヤノだって俺を恨んでたんだし」

でも、私がカヤノさんについて行かなければこんな事にはなってなかったよね。

「それに、華ちゃんに何かあると体が勝手に動いてしまう。冷静でいられなくなって、華ちゃんを守ることしか考えられなくなる」

桃田さんは私の手を握ってそう言ってくれる。

「華ちゃんが無事で本当に良かったよ」


マキノさんが迎えに来てくれて、私と桃田さんは桃田さんのマンションへと送ってもらった。

初めての桃田さんの部屋はすごく広く、綺麗に片付けられている。

桃田さんは脇腹を庇いながら、ゆっくりとソファに腰を下ろした。

「華ちゃん、こっちおいで」

そう言って、手招きをする桃田さんの横に私も腰を下ろす。

「華ちゃんは大丈夫?」

私は桃田さんのおかげで擦り傷ひとつついていない。

「怖かったでしょ?もう大丈夫だよ」

怖かった…。
カヤノさんや男たちに襲われるかと思って、震えが止まらないほど怖かった。

だけど、それ以上に怖い思いをした。

「桃田さんが怪我して、居なくなったらって思うと怖かったです」

桃田さんが血を流している姿を思い出しただけで、また震えが出てきてしまう。

「大丈夫だよ。俺は何があっても華ちゃんと離れないから」

そう言って、私の後頭部に腕を回し、私のおでこと桃田さんのおでこをくっ付ける。

少しでも桃田さんと触れられている事が嬉しくて、すごく安心できる。

「桃田さん…今日はずっと一緒にいたいです」

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