桃の華〜溺愛イケメン社長〜
仕事の途中で私のとこへ駆けつけてくれて、この後も怪我のせいで仕事が出来なくて、迷惑かけているのはわかっている。

だけど、どうしても桃田さんといたい。

後頭部に回されている腕に力を入れられて、キスをされる。

クリスマスの時のような触れるだけのキスじゃなく、大人なキスに体中に力が入ってしまう。

「ほんと華ちゃんは可愛すぎるよ」

離れた私の唇を桃田が指でなぞる。

「怪我してなかったら、抑えられなかったよ」

そう言って、桃田さんは再びチュッと音を立ててキスをする。

「今日は一緒にいよう」

あんなに怖い思いをしたのが嘘のように、桃田さんといるだけで恐怖が薄れていく。

今日は桃田さんに甘えていたい。

きっと桃田さんもそんな私の気持ちを気づいてくれているんだと思う。

「華ちゃん、お風呂入っておいで」

「えっ?」

ま、まさか!!ついに!?

「ははっ…そんな驚かなくても今日は何もしないよ」

そうなんだ…。
ひとりで早とちりして恥ずかしいよ。

「俺の服でいいよね?ちょっと待ってね」

そう言って、桃田さんは立ち上がろうとするけど。

「わ、私が!桃田さんは安静にしていてください」

「じゃ、そこの部屋のクローゼットを開けて、左の方にルームウェアがあるから好きなの着ていいよ」

桃田さんはが指差す部屋へと入ると、大きなベッドがある。

そして、クローゼットを開けると桃田さんの服が沢山かけられている。

好きなのって言われたけど、どれを借りようかな。

左側にある桃田さんのフードの付いたパーカーのルームウェアを手に取って、ハンガーから外した。

桃田さんの匂いがする。

「華ちゃん、あった?」

「あ、はいっ!これお借りしてもいいですか?」

「いいよ」

桃田さんのルームウェアに顔を埋めて匂いを嗅いでいるところを桃田さんに見られてしまったよ。

恥ずかしい。
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