からふる。~第7話~
「玲央のことなんだけど」


「あ、うん」


「さーやちゃんに近付かないように言っておく。玲央カノジョいるのになんでさーやちゃんに...」


「それって桃さんのこと?」


「なんで知ってるの?」


「さっき言ってたから...。桃さんにする前に私にして試したみたい」



そう。


私は実験台になったのだ。


ファーストキスが実験台って忘れたくても忘れられない。



「玲央には前園桃子さんっていうカノジョがいるんだけど、話を聞く限り、桃子さんの方が玲央にゾッコンらしくて。まあ悪い子じゃないから付き合ってるみたいたんだけどね、悩んでるのは確か。だからってさーやちゃんにキスの練習って...」


「私、忘れる。忘れるように努力する。だから大丈夫だよ」


「じゃあさ...」



しゅうくんの顔が私の目の前に現れる。


ドクンドクンドクンドクン...。


し、し、し、心臓が破裂してしまいます!



「オレに手伝わせてくれない?」


「えっ?」


「嫌ならいいよ。3秒以内に顔をそらして」


「えっ...えっ?」


「さーん、にい、いーち...」



私は...目をつぶった。


次の瞬間。


柔らかくて温かい唇が降りてきて、私は麻痺して10秒以上呼吸を忘れ、その感覚に酔いしれていた。



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