桜田課長の秘密
「さっきの本。佐田倉 風太」

「はい」

「実はこの作者、僕の知り合いなんです」

「ええ!?」

そうとは知らず、ドMだなんだと好き放題言ってしまった。
後悔に悶える私に、課長は追い打ちをかける。

「仕事というのは彼の助手です」

「なっ……本気ですか?」

「もちろんです。報酬は謝礼という形で月に20万。
それなら社内規定に抵触しませんし、勤務も仕事が終わった後や休日でけっこうです」

そんな美味い話があるんだろうか――――

「なんだか裏がありそうな気がするんですが……」

「不安なら断って下さって結構ですよ。どうぞ、路頭にお迷いください」

くるりと背中を向けた課長に飛びついた。

「やります、どうかやらせてくださいっ!」

「そうですか。では――――」
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