桜田課長の秘密
「江本さん、眉間に皺が刻まれています」
『アンタのせいだよ』という言葉は飲み込み、指先を滑らせて皺を伸ばした。
「そうですか、それは良かったですね」
「はい、スッキリしました」
ひとりで達したのか、相手があったのかは知らない。
知りたくもない。
そして、まともに相手をしても疲れるだけだ。
気を取り直して、鍵とリストを手元に引き寄せる。
「月刊誌の連載が1本。週刊誌が2本。兼業作家なのに大変ですね」
「ショートスリーパーなので、問題ありません」
こともなげに言ってのけた彼は、一転。心配そうな顔をして私を見つめた。
「それより顔色が優れませんね。君も日中働いているんですから、空いた時間は自分の家だと思ってゆっくりしてください」
顔色が悪いのは、今日の仕事量が多すぎたせい。
実のところ、パソコン画面の見過ぎで軽い頭痛に襲われている。
それを伝えると『いけませんね』と立ち上がった課長は、頭痛薬でも持ってきてくれるのだろうか。部屋から出て行ってしまった。
『アンタのせいだよ』という言葉は飲み込み、指先を滑らせて皺を伸ばした。
「そうですか、それは良かったですね」
「はい、スッキリしました」
ひとりで達したのか、相手があったのかは知らない。
知りたくもない。
そして、まともに相手をしても疲れるだけだ。
気を取り直して、鍵とリストを手元に引き寄せる。
「月刊誌の連載が1本。週刊誌が2本。兼業作家なのに大変ですね」
「ショートスリーパーなので、問題ありません」
こともなげに言ってのけた彼は、一転。心配そうな顔をして私を見つめた。
「それより顔色が優れませんね。君も日中働いているんですから、空いた時間は自分の家だと思ってゆっくりしてください」
顔色が悪いのは、今日の仕事量が多すぎたせい。
実のところ、パソコン画面の見過ぎで軽い頭痛に襲われている。
それを伝えると『いけませんね』と立ち上がった課長は、頭痛薬でも持ってきてくれるのだろうか。部屋から出て行ってしまった。