藍色の夜
初めてこの話を聞いた時、なんて残酷なんだろうって思った。じん君も、それに彼女さんも。
自分はいなくなっちゃう癖にそれでもなお彼を自分の元に置いときたいなんて、彼女さんあまりにも酷じゃないか...って。それで私に隙をくれないじんくんもって。
でも結局、一番酷いのは考えてみればみるほどに私だった。
じんくんが好きだから、私は名も知らないその人がずっと憎かっただけで。そんなの、
「ただの八つ当たりだよね...」
電話の向こうには届かないよう、小さな声で呟いた。