【完結】その口止め料は高すぎますっ
プロローグ
牧瀬(まきせ)さん、こんなところで何してるの?」

腕をやわらかく捕まえられて、見上げたその人と視線がかち合った。
「こ、小原さん…」

反射的にその名を口にして、あとは言葉が出てこない。
なんであの、小原直斗(こはらなおと)さんがここに!?

動揺に目を見開いたまま固まるわたしに視線を落として、小原さんがうすく笑む。

「メイクイベントのバックステージで、スタッフカードを首にかけて、まさかバイトしてるの?」

「ち、違うんです。これにはわけが…」
しどろもどろで口にする。
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