【完結】その口止め料は高すぎますっ
「花乃、今日はもう彼に送ってもらいなよ」春海が “彼” の部分を強調して口にする。

「怪我させちゃって、すみません。花乃をよろしくお願いします」と詩織も続ける。

「そうさせてもらいます。お先にすみません」
と直斗さんがふたりに告げる。

「花乃、またね!」
「お大事に」

手を振ってくれる春海と詩織と、そして立ち尽くすひとりの男性を直斗さんの肩越しに見た。

さようなら、もう二度と関わることはない。かつて好きだったひと。
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