【完結】その口止め料は高すぎますっ
「そういえば直斗さん、どうしてあの場に…?」

「今朝の花乃の様子がいつもと違う気がして。なんとなく胸騒ぎってやつだな」淡々と口にする。

「いつもと…」
そんなに違っただろうか。準備でどたばたしていたけれど。

「うん、具体的にはメイクが違った。アイラインがぶれてるしいつもよりキツめに入れてるなって。最初は結婚式だから派手にしてるのかとも思ったけど、花乃らしくないから」

そんな些細なところまで、どうしてこのひとは気づくんだろう。

「会いたくない相手がいると、無意識に服やメイクに気を張るから。花乃が恋に臆病な理由が、そこにあるのかもしれないと思った。どうしても気になって、見るつもりはなかったけど今朝テーブルに置いたバッグの横に案内状があったから、時間と場所は分かってた」

「…つまらない話なんです。学生時代に付き合って振られた相手も、結婚式に呼ばれていて」ぽつぽつと口にする。
「なぜか式が終わった後で絡まれてしまって…」
あとは彼も見ての通りだ。
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