【完結】その口止め料は高すぎますっ
「一瞬、王子様かと」

「一瞬?」と彼がわざとらしく片眉を上げる。

「あ、あの…ずっと」
わたしにとって王子様は直斗さんだ。

「じゃあお姫様を連れ去っていいかな」

顔に熱が集まるのが分かる。それだけで返事みたいなものだ。

膝に大きめにカットしたガーゼを貼ってもらって、ひょいと直斗さんに抱き上げられる。

「連れ去るっていっても、もう自分のうちだけどね」

彼の肩に頬を寄せる。連れて行ってほしい。彼が望む場所へ。
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