【完結】その口止め料は高すぎますっ
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「お袋、なにか余計なこと言ってなかった?」
病室を辞して駐車場にとめた車に乗り込むなり、直斗さんが訊いてくる。
「え、全然。直斗さんの子どもの頃の話とかしてくれました」
シートベルトを締めながら返事をする。
そうか、と言いつつ「おしゃべりだからな」とぶつぶつつぶやいている。
直斗さんはわたしが愛し尊敬している恋人で、婚約者。そして彼のご両親もあらためて、素晴らしい方だった。
好きなものに関しては譲らない。ずっとそばにおいて大切にする。そんな直斗さんのことをよく理解して、見守ってくれていたご両親だった。
それが家族なのかもしれない。わたしたちも少しずつそんな関係を育んでいけたらと、そんなことを思う。
ふと思いついたように「コンソールボックスからティッシュ取ってくれない?」と直斗さん。
「あ、はい」
手を伸ばしてパカっとボックスを開けると、そこにティッシュは見当たらなかった。
かわりにリボンがかけられた小箱がひとつ。
「お袋、なにか余計なこと言ってなかった?」
病室を辞して駐車場にとめた車に乗り込むなり、直斗さんが訊いてくる。
「え、全然。直斗さんの子どもの頃の話とかしてくれました」
シートベルトを締めながら返事をする。
そうか、と言いつつ「おしゃべりだからな」とぶつぶつつぶやいている。
直斗さんはわたしが愛し尊敬している恋人で、婚約者。そして彼のご両親もあらためて、素晴らしい方だった。
好きなものに関しては譲らない。ずっとそばにおいて大切にする。そんな直斗さんのことをよく理解して、見守ってくれていたご両親だった。
それが家族なのかもしれない。わたしたちも少しずつそんな関係を育んでいけたらと、そんなことを思う。
ふと思いついたように「コンソールボックスからティッシュ取ってくれない?」と直斗さん。
「あ、はい」
手を伸ばしてパカっとボックスを開けると、そこにティッシュは見当たらなかった。
かわりにリボンがかけられた小箱がひとつ。