【完結】その口止め料は高すぎますっ
翌日、火曜日の夜。
わたしはタクシーで小原さんに教えられた彼の住むマンションに向かった。
タクシーを降りて、スーツケースを手にしばし建物を見上げる。
高さはさほどでもなく、奥行きを感じさせる造りだった。エントランスを囲む石の塀や配された前栽が、高級感をただよわせている。
エントランススペースに入り、オートロックの操作パネルで彼の部屋の番号をプッシュする。
すぐに『はい』と応答があった。
「牧瀬です」
『ちょっと待ってて、すぐ降りていくから』
意外だった。部屋まで来るように言われるかと思いきや。
ほどなくして、自動ドアの向こうに小原さんが姿をあらわした。
彼は自動ドアの内側にわたしを招じ入れると、スーツケースに手を伸ばした。
「あの…」
「女性に重い物を持たせる趣味はないから」
当たり前のようにスーツケースを引く。
「すみません、ありがとうございます」
「こちらこそ。自分が言い出したことなのに急だったから、散らかってて悪いけど」
わたしはタクシーで小原さんに教えられた彼の住むマンションに向かった。
タクシーを降りて、スーツケースを手にしばし建物を見上げる。
高さはさほどでもなく、奥行きを感じさせる造りだった。エントランスを囲む石の塀や配された前栽が、高級感をただよわせている。
エントランススペースに入り、オートロックの操作パネルで彼の部屋の番号をプッシュする。
すぐに『はい』と応答があった。
「牧瀬です」
『ちょっと待ってて、すぐ降りていくから』
意外だった。部屋まで来るように言われるかと思いきや。
ほどなくして、自動ドアの向こうに小原さんが姿をあらわした。
彼は自動ドアの内側にわたしを招じ入れると、スーツケースに手を伸ばした。
「あの…」
「女性に重い物を持たせる趣味はないから」
当たり前のようにスーツケースを引く。
「すみません、ありがとうございます」
「こちらこそ。自分が言い出したことなのに急だったから、散らかってて悪いけど」