【完結】その口止め料は高すぎますっ
付け足しのように「うちにあるものは基本的に自由に使っていい。コスメ用品も」と小原さんが口にする。

「コスメ?」驚いて聞き返す。
コスメって化粧品のコスメのこと? なぜ小原さんの家にコスメが。以前付き合っていた恋人の置き土産だろうか。

「そんなにびっくりしないでほしいな。デザイン画を描く画材に使ってるんだ」

「画材に…」
そうだ小原さんはデザイナーだ。

「コスメ、特にアイシャドウは画材としても優秀なんだ。カラーバリエーションが豊富だし、色合いが繊細で発色もいい」

なるほど、と聞いていたら続く彼の言葉に心底驚いた。
「ちなみに牧瀬さん、今日のアイシャドウはchoupetteの限定パレット?」

「そうです。よく分かりますね」
思わず彼を見上げる。

小原さんが視線がわたしの目を覗きこむように注がれている。彼が見つめているのはアイシャドウだと思いたい。

「カラーアイテムに関しては、普通の女性より詳しいんじゃないかな。各ブランドの新色や限定色もチェックするようにしている」
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