【完結】その口止め料は高すぎますっ
わたしに異論のあろうはずはない。

それはそれとして「すみません、直斗さん」とわたしは切り出した。
「今週の金曜の夜なんですけど、友達と予定があって」

「友達づきあいまで制限する資格は俺にはない」
と静かに彼が言う。

「大学の時の同級生なんです」なぜだか言い訳がましく説明する。
「こんど共通の友達のひとりが結婚することになって、わたしも彼女も式に呼ばれてて。それで久しぶりに会うことになったんです」

金曜日の夜という貴重な時間に穴を開けてしまって申し訳ないけれど。こちらのほうが前からの予定だったから、わがままを通させてもらうことにした。
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