【完結】その口止め料は高すぎますっ
飛躍のチャンスに、香帆ちゃんは寝る間を惜しんで研究と練習を重ねた。
参加ブランドの商品知識をつけるのはもちろん、特性を活かしたメイクを提案するために———

それなのに、無理がたたって香帆ちゃんはイベントの二日前に、ついにダウンしてしまったのだ。
もともと喘息の持病がある香帆ちゃんは、疲れがたまると呼吸器の炎症を起こして寝込んでしまう。

そうして、一人暮らしの香帆ちゃんのマンションに看病に駆けつけたわたしは、「一生のお願い」をされることになったのだ。

「これはわたしの持病で、ひとに伝染したりしないから。明日1日寝て薬を飲めば、明後日には起き上がれるはずなの」
ぜえぜえと苦しそうな息とともに、言葉を吐き出す。

「でも香帆ちゃん、こんな状態で…」

「だから花乃、わたしのアシスタントでついててほしいの」

「えっ!?」
思いがけない言葉に、驚きの一語しか出てこない。
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