【完結】その口止め料は高すぎますっ
溝口先輩はわたしが初めて付き合った相手だった。
きっかけは莉子と坂本先輩と同じパターンだ。ゼミの先輩後輩で、ノートを貸してもらったりレポートのアドバイスをしてもらううちに、仲良くなった。
スーツを着てインターンシップや就職活動の話をしている溝口先輩は、一つ年上でも大人っぽく頼りがいがあるように映って、好きになったのはわたしが先だったと思う。
彼に交際を申し込まれたときは、好きなひとと付き合える幸福感に舞い上がった。
われながら尽くす彼女だったと思う。
なるべく彼に合わせて、わがままも言わなかった。一人暮らしをしている彼のアパートに行って家事をしたり…今にして思えばままごとじみていたけれど。
なのに———ある日、彼から言われたひと言。
「花乃のメイクって地味だよな」
「え、そう?」
内心のショックを押し隠しながら、聞き返した。香帆ちゃん直伝で、ちょっぴり自信を持っているところなのに。
きっかけは莉子と坂本先輩と同じパターンだ。ゼミの先輩後輩で、ノートを貸してもらったりレポートのアドバイスをしてもらううちに、仲良くなった。
スーツを着てインターンシップや就職活動の話をしている溝口先輩は、一つ年上でも大人っぽく頼りがいがあるように映って、好きになったのはわたしが先だったと思う。
彼に交際を申し込まれたときは、好きなひとと付き合える幸福感に舞い上がった。
われながら尽くす彼女だったと思う。
なるべく彼に合わせて、わがままも言わなかった。一人暮らしをしている彼のアパートに行って家事をしたり…今にして思えばままごとじみていたけれど。
なのに———ある日、彼から言われたひと言。
「花乃のメイクって地味だよな」
「え、そう?」
内心のショックを押し隠しながら、聞き返した。香帆ちゃん直伝で、ちょっぴり自信を持っているところなのに。