【完結】その口止め料は高すぎますっ
「うん、もっとさー、なんていうかバチバチにできない? ああいうメイクのほうが、写メ撮ったときも目立つし可愛いじゃん」
その言葉だけでわたしは、カラーコンタクトにつけまつ毛、太いアイラインで強調した目元、ハイライトをたっぷりはたいたメイクをした女の子を描くことができた。
そしてそんな女の子がいま彼の身近にいて、心を移しつつあるということまで察することができた。
分かったからといって、どうすることもできなかった。
わたしにとってメイクはモテるための手段ではなかった。
容姿を “盛る” ためのものでも、誰かに似せるためでもない。
自分を表現するためのものだった。そんな自分のちっぽけなプライドまで手放したら、わたしにはなにも残らない気がした。
わたしがメイクを変えることはなく、溝口先輩はあっさりわたしから離れていった。
初めてできた彼に振られて、自分が大好きなものを否定されたショックは大きかった。
その言葉だけでわたしは、カラーコンタクトにつけまつ毛、太いアイラインで強調した目元、ハイライトをたっぷりはたいたメイクをした女の子を描くことができた。
そしてそんな女の子がいま彼の身近にいて、心を移しつつあるということまで察することができた。
分かったからといって、どうすることもできなかった。
わたしにとってメイクはモテるための手段ではなかった。
容姿を “盛る” ためのものでも、誰かに似せるためでもない。
自分を表現するためのものだった。そんな自分のちっぽけなプライドまで手放したら、わたしにはなにも残らない気がした。
わたしがメイクを変えることはなく、溝口先輩はあっさりわたしから離れていった。
初めてできた彼に振られて、自分が大好きなものを否定されたショックは大きかった。