【完結】その口止め料は高すぎますっ
第4章/like a princess


花嫁さんでなくても、結婚式の朝はなにかと慌ただしい。
日曜日は、朝早くから身支度に追われていた。

今までは香帆ちゃんがご近所だったから、なにかと手を借りていたけど、今日ばかりはそれも望めない。
お呼ばれのヘアメイクを自分ひとりでやるのは初めてかもしれない。

結婚式の主役はもちろん新婦だから、わたしたちは花を添える役割だ。
香帆ちゃんにやってもらったパーティーメイクを思い出しながら、パレットから色を選ぶ。

華やぎと清楚さを併せ持つシャーベットカラーを、アイホールにのばした。
チークはいつもより濃いめに。このほうが写真映えするから。あ、ちょっと入れすぎたかも。ハイライトカラーでぼかそう。

莉子と坂本先輩を祝福することに集中したいのに、溝口先輩の存在が蜘蛛の巣のように、頭のすみにひっかかっている。今日顔を合わせることになるんだよな…

くちびるにティントを仕込んで、リップを塗って、グロスを重ねる。これだけ塗ればコースのデザートまで平らげてもくちびるに色が残ってくれるはず。

カーラーを外して髪をアップにしてピンで留めて…急げ、わたし!
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