幼なじみの彼とわたし
「は?好きだって気づいてから間もないのに?告白もしてないのに?封印するの早くない?」


千尋は何にもわかってない。
遥ちゃんが好きなのは千尋だから。
千尋もフリーになったことだし、親友とライバルにはなりたくない。


「だって…、千尋かわいいし、性格もちょっと気が強いけど優しいし。敵わないもん」

「……は?」

目の前の千尋はかなりマヌケな顔をしている。


「だからさ、、、」

「それ、遥平くんが言ってた?それともまたお得意の妄想?」

わたしの声を遮って聞いてくる。
遥ちゃんには聞けない。
すっぱり断られるのが辛いから。


「そう聞かれるとわたしの妄想。ってことになっちゃうんだけど。かき集めた情報を分析した結果。かな?」

「何それ。それじゃ話になんないから。本人に聞いてから出直してきな」


なんか怒ってる?


「いや、もういいの。気持ちは封印するから」


はぁー、という大きなため息が聞こえてきたけど、わたしのメンタルもそこまで強くない。
幼なじみとして今まで通り。
水曜日から気持ちをそう向けてきているんだから。


「はいはい、もういいわ。その話はまた今度。次わたしの話ね」

「うん。ん?」


ちょっと待って、千尋さん?
さっきまでと顔つきが全然違うんですけど。
急に女の子の顔をしてるではないですか。
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